建築家という職能。 建築家という人間。 建築家という生活習慣や、考え方の思考の癖。はものすごいです。 こだわりや、執着心。感覚的なセンス。 特殊な人間の才能ではないかと思う反面。 それが、逆に怖くもあります。

建築家の妻

建築家の妻が、建築家である夫の日々の名言を忘備録として残したもの

お洒落なガルバリウム鋼板一文字葺きの外壁はシンプルで雨漏りの少ない画期的なシステムでした。

注文住宅を建てる時に

まず見た目を大切にしたいと思います。

 

色々なハウスメーカーから

それぞれの特色ある外壁デザインが提案されており

 

www.nuri-kae.jp

 

どれも魅力的に見えてきて

なかなか選ぶことができないかと思います。

 

もちろん外壁の色や素材の好みはあり

わたしははレンガ調の外壁がよかったのですが

 

「レンガ調にしてもいいけど

レンガは素材自体の材料が重いので、建物に負担がかかる」

からやめた方がいい

 

そう建築家の夫から言われました。

 

 

本物のレンガではなく

レンガっぽい外壁って選べるじゃないですか

「サイディング」というのですが

 

サイディングが建築家の夫からは不評でした。

 

その理由は

「外壁材の継ぎ目のシール(防水材)は劣化しやすいから

継ぎ目の多いサイディングはメンテナンス性が悪い。」

reform-journal.jp

 

「できるだけシール(コーキング)の少ない、ノーメンテナンスを実現できる外壁を選びたい。」

 

候補と上がってきたのが

ガルバリウム鋼板

という金属板の外壁材です。

yuko-navi.com

 

もちろんメンテナンスは必要なのですが

シールが少なく

基本的には

・定期的な水洗い

・長期的な再塗装

のみで外装材としての機能を果たすことができます。

 

ガルバリウム鋼板自体が劣化しにくい材料であり

その上から塗料でコーティングするということです。

 

塗料が劣化するのは主に太陽光からの紫外線が原因です。

外側のコーティングは再塗装を施すことで

金属自体は使い続けることができるということなのです。

 

またガルバリウム鋼板の採用を考えている

その他の理由としては

 

計画場所が

特に海から距離の近い湘南エリア

今回の場合、もちろん鎌倉エリアなどでも

ガルバリウム鋼板は塩害対策にも適します。

 

そのほかにも

漆喰や塗装などで

シールをなくす方法もあったようなのですが

 

クラックなどが発生する場合もありますし

苔が生えたりしたときに

除去できなかったりするので、日々の手入れのしやすさがポイントなようです。

 

ただ苔が生えること

逆におしゃれじゃないか

 

と鎌倉だと思ってしまうのです

板張りのお家に苔が生えており

非常に美しい

 

何年もの歳月をそれだけで感じることができる。

そんな空気感は

鎌倉ならではと思いますので

 

逆に良いんじゃないのか

と伝えましたが

 

「いやっ、我が家はお寺じゃないし

苔生えると漏水して家の中に雨水が入ってきてしまう。」

とすぐさま

却下されました。

 

 

ガルバリウム鋼板といっても

サイディングにも金属外壁がありますが

外壁にシールが必要なのはNGのようです。

 

www.nisc-s.co.jp

www.yodoko.co.jp

 

www.sekino.co.jp

 

中でも一文字葺きというものが

建築家の夫の中で

ヒットしたようです。

www.shinseico.jp

www.yamauchi-metal.co.jp

www.dymwakai.co.jp

www.gantan.co.jp

 

「一文字葺き」というのは

数ある金属材の重ね合わせ方の種類の中のひとつ

 

その他に

「縦葺き」

「横葺き」

「縦ハゼ葺き」

「杮葺き」

「段葺き」

「菱葺き」

などなど

があるようで

 

屋根であれば水勾配に差があったり

部材同士の重ね方の違いにより

 

より陰影が出るもの

シャープな印象になるもの

があります。

 

一文字葺きはどちらかというと

社寺仏閣に利用されているもので

 

なにー

結局社寺系ではないか、、、

と思ったものの

 

その重なり方がけっこうお洒落です。

 

一文字葺きは水平に一直線に

一枚一枚重ねることで

水を内側に入れない物理的な工夫をしています。

 

そのシステムというか、

構造がものすごく単純なのに

見事に水を止められる。

 

長い間

社寺仏閣で使われてきた

実績ですかね

安心感があります。

www.caname-jisha.jp

 

あくまでも

勝手に信頼しているだけですが

 

そのシステムというか構造は

最初に下の板を貼り付けます。

そして、その板の上に

かぶり代(ハゼという水返し)

を設けて

板を重ねる。

 

そうすると水はなかなか中に入り込むことができません。

 

工事の際に折れ曲げたり

確かに手間はかかるのですが

物理的に止水するので

 

その断面的な形状から

信頼ができそうな気がするのです。

 

このはるか昔に発明されて

使用され続けてきた一文字葺きは

 

雨水の原理を理解して生み出されており

重力に逆らわず

ありのままの、素直な形状をしており

 

その構造のシンプルさからは

比較にならないほど

雨漏りが少なく画期的なシステムだと思います。

 


よって

シールは不要

重ねることで防水が成立する。

 

このディテールというのですかね

建築家の夫が気に入った理由のようです。